ハリウッドのランドマーク 2

〜 You Are The Stars 〜

ハリウッドのランドマーク 1ではウォーク オブ フェイム西側を中心に綴りましたが、パート 2では地元の人もあまり知らないちょっとしたお話を含めて残りのハリウッドのランドマークについて綴っていこうと思います。

ウォーク オブ フェイムを歩く際、素通りして見逃してしまう建物が多々あったのですが、実際その建物に纏わるお話を聞いてからはハリウッドの歴史は奥深いものなのだと実感し、アンテナのレーダーが広がりました。

目次

ウォーク オブ フェイム唯一の本屋さん

ウォーク オブ フェイムには本屋さんが1件あります。

ラリー エドムンズ ブックショップ(Larry Edmunds Bookshop)は1938年にオープン。オープン当時は近くの別の通りにあったのですが、1950年代にハリウッド ブルバードへ移転、その後現在に至るまでこの通りで開業している本屋さんです。

この本屋さん、実は「映画・劇場関連のもののみ」をお取り扱いしている特別な本屋さんで、ウォーク オブ フェイムにある唯一の本屋さんなのです。

本は新品、中古を合わせて2万冊以上、映画関連の写真やポスターは合わせると50万枚以上にのぼる商品のお取り扱いがあるそうです。

タイムスリップをしたのかと勘違いしてしまいそうな店内には、古い映画のポスターや映画の脚本があり、映画ファンにとっては必見のワクワクするお店です。

この本屋さん、オープン当時から世界中の映画ファンや映画関係のお仕事をされている方が訪れる場所のようで、今ではハリウッドの歴史の一部となっている貴重な本屋さんです。

Larry Edmunds Bookshop
6644 Hollywood Blvd, Los Angeles, CA 90028
Tel: 323-463-3273

役者と犬はお断り!?

クラブやお土産屋さん、飲食店が並ぶハリウッド ブルバードにアパートが1件佇んでいます。このアパートは現在ハドソン アパートメント(Hudson Apartment)と呼ばれ、ピンクベージュの壁に緑と白のストライプの日除けが特徴の建物です。(以前はヒルビュー アパートメント(Hillview Apartment)の名称)

観光客が多く訪れ、商業中心の通りでたった1件だけアパートが今でも残っているのは少し不思議ではないでしょうか?

ハリウッド黄金期を目前にした1910年代、「映画のメッカと言えばハリウッド」となっていた時代、ハリウッドは世界中から来る様々な人を歓迎していたのですが、実は映画界の人、特に役者さんはあまり歓迎されていなかったのです。

多くのアパートに部屋の空きはあっても「役者と犬はお断り」といった紙が貼られたアパートが多くあったそうです。役者さんの収入が不安定といった背景が理由のようです。

せっかく映画制作環境があっても役者がいなければ意味がないということで、映画界のパイオニアが立ち上がり、地中海のリビエラスタイルを取り入れたアパートを作りました。

アパート建設の目的はもちろん「役者たちの住む場所確保」でした。

Credit : Courtesy of the California History Room, California State Library, Sacramento, California.

大きなロービー、待合室、自動エレベーター、床とインテリアはマホガニーで仕上げられ、当時最新のアメニティを取り入れて作られたそうです。今考えれば当たり前にあるものも、当時はそれが最新のスタイルだったのです。

1917年に設立され、サイレント映画の大スターも住んでいたアパートは、役者さんたちの間では瞬く間に人気のアパートとなり、ハリウッドの「ホットスポット」となったそうです。

サイレント映画スターのチャーリー チャップリンもこのアパートを所有していた時期があったそうです。

建物は1994年の地震と2002年の火事によってダメージを受けてしまい再建設されたので、現在の姿はオリジナルの建物ではありませんが、ハリウッド史の一部として残るよう昔と同じように再建設されたそうです。

現在のハドソン アパートメント

6533 Hollywood Blvd, Los Angeles, CA 90028

ジェーンズ ハウス

ストーリーを聞くまで、そこに邸宅があることすら気がつかない場所がハリウッド ブルバードにあります。1903年に建てられたこの邸宅はジェーンズ ハウス(Janes House)と呼ばれています。

ジェーンズ一家が1905年に住み始め、家は15名程の園児を預かる幼稚園となり、その後もう少し年齢の大きな子供が通える学校になりました。この学校にはチャーリー チャップリンを始めとする、当時ハリウッドスターだった役者さんやプロデューサー、VIPの子供が通学する学校として知られていました。

当時あったヴィクトリアン様式のこの邸宅は現在後ろへと移動されているため、大通りからは見え難くとても分かりづらいのですが、邸宅自体はお色直しを何度か経て、現在ラウンジバーとして使われています。

中はモダンになっていますが、細かいところを見ていくと当時の雰囲気も残っているところです。

6547 Hollywood Blvd, Los Angeles, CA 90028

You Are The Star

街中のあらゆるところに大きな壁画がある街としてもロサンゼルスは知られています。多くある壁画の中でもこの壁画は特に有名で、観光スポットとしても知られています。

マリリン モンロー、チャーリー チャップリン、ジェイムズ ディーンなどシルバースクリーンの歴史の中で時を経ても語り継がれている多くの役者さんが描かれた壁画です。

以前から観光スポットとして知られていましたが、2016年のヒット映画「ラ ラ ランド」でも主人公がこの壁画前を通過するシーンがあり、この映画公開後、再びスポットライトを浴びて多くの方が訪れる場所になっています。

You Are The Star
1665 Wilcox Ave, Los Angeles, CA 90028

コメディー映画ロケ地

サイレント映画時代、3名の名コメディアンがいました。サイレント映画時代ですので、今から100年ほど前ですね。

チャーリー チャップリン(Charlie Chaplin)、バスター キートン(Buster Keaton)、ハロルド ロイド(Harold Lloyd)の3名は「コメディーの王様」と呼ばれていました。

この3名がそれぞれ作った映画のロケ地が現在「Chaplin Keaton Lloyd Alley」(意味的にはチャップリン キートン ロイドの裏路地)としてハリウッドの中心部分にひっそりと残っています。

このロケ地が使われた映画は下記の3本。

The Kid(1921年) チャーリー チャップリン
Cops(1922年) バスター キートン
Safety Last!(1923年) ハロルド ロイド

この3本以外でもロケ地として使われた映画はあるのですが、コメディーの王様3名の名をとって、記念碑が壁に埋め込まれています。

ニッカーボッカー ホテル

先に触れた「You Are The Star」の壁画から2ブロック程東へ歩くと、アイヴァー アヴェニュー(Ivar Avenue)という通りがあり、そこにはニッカーボッカー(The Knicerbocker)と呼ばれる建物があります。

ウォーク オブ フェイムに面していないのであまり目立たないのですが、この建物もハリウッド史からは切り離すことができないものです。

ここはエルビス プレスリーがやさしく愛して(原題: Love Me Tender)の映画撮影の際に宿泊したホテルとして、また、マリリン モンローがラウンジバーに来るホテルとして知られていました。

ホテルとして開業した当時はラグジュアリーホテルとして知られていて、ロビーにある大きなシャンデリアは多額を費やして飾られたそうです。2022年現在の価格にして約1,700,000ドル近く費やされたそうです。(桁が多い!)

この近くにはロケ地として使われる通りがあり、現在でもテレビドラマや映画などを観ていると映り込んでいることが多々ある建物です。

現在ここはホテルとしての機能はなく、定年退職した方のラグジュアリーホームになっています。

キャピトル レコード タワー

ロサンゼルスのランドマークのひとつにキャピトル レコード タワーがあります。キャピトル レコード社のオフィスで、1956年に建設が完了した円筒形の建物で、オフィスビルとしては世界初の円形建築物として知られています。

現代ように高層ビルが並ぶ時代ではなかったことから、当時はとても目立つ建物だったようです。

このビルの屋上にあるアンテナの先は赤い光がチカチカとしているのですが、この光、実はモールス信号を送っているのです。

ビルが出しているモールス信号は「Hollywood」。

一度だけレーベル50周年記念に「Capitol 50」という信号に変わりましたが、その後は再び「Hollywood」に戻り、1956年にオープンして以来ずっと同じ信号を出し続けているそうです。

このキャピトル レコードも映画やテレビを見ていると多くのシーンに入り込んでいる建物です。

SF映画、インデペンデンス デイ(原題 : Independence Day)やデイ アフター トゥモロー(原題:The Day After Tomorrow)ではストーリーの中で崩壊されてしまう建物として登場しています。

ハリウッドの歴史あるランドマークであるからこそハリウッドの大作にもよく出てくるのでしょうか?

CAPITOL RECORD
1750 Vine St, Los Angeles, CA 90028

パンテージス シアター

パンテージス シアター(Pantages Theatre)は1930年にオープンしたアール デコ調の劇場です。ウォーク オブ フェイムの最東端に近い場所に位置しています。

この劇場、中の装飾が本当に素晴らしいです。ハリウッド ブルバードには劇場が多くあり、どこもインテリアはディテールに凝った装飾がされていて美しいのですが、この劇場は格別美しさが輝いています。

当初映画館として数十年使われていましたが、その後劇場へと変わり、1949年から1959年までの間、アカデミー賞授賞式の会場として使われていました。フランク シナトラ、後にモナコ公国の公妃となったグレース ケリーなどがこの劇場でオスカーを授賞しています。

シャンデリアや壁の修復などはされていますが、基本オープン当時と殆ど変わらない姿で残っているこの劇場、中に入るとちょっぴりタイムスリップした気分になれます。

滞在中に興味ある舞台やミュージシャンの演奏がある場合、ぜひ足を運んでみてください。素敵な劇場でエンターテイメントを楽しむのも人生の1ページに刻める経験。いつもとは異なる時間が過ごせるのではないでしょうか。

Pantages Theatre
6233 Hollywood Blvd, Los Angeles, CA 90028

Amoeba Music

「ロサンゼルス」と耳にして、映画の他にミュージックシーンを思い描く方は少なくありません。世界一大きなインディーレコード店として知られているのがこのAmoeba Music(アメーバ ミュージック)です。

1990年にサンフランシスコとハリウッドにオープンしたこのお店、昔懐かしいレコードからCD、音楽に関する商品のお取り扱いがあります。

今はダウンロード、クラウドの時代で物理的にレコードやCDを持つことが少なくなりましたが、インディー ミュージック愛好家やレコードコレクターは今でもこのお店に足を運んでいるようです。

以前ハリウッドの店舗はサンセット ブルバードに構えていたのですが、2021年ハリウッド ブルバードに移転しました。

日本国内では見つけにくい海外版のレコードを見かけることがあるので、音楽ファンなら1度、いや2度でも3度でも足を運ぶとワクワクするところです。

Amoeba Music
6200 Hollywood Blvd, Los Angeles, CA 90028

フォンダ シアター

ウォーク オブ フェイムの最東端にフォンダ シアター(The Fonda Theatre)という小さな劇場があります。

劇場と言っても今は一階には座席が無く、お芝居などを観るところではありませんので、「小さなライブハウス」と言う方が的確な表現かもしれません。

1926年にオープンしたこの劇場、ハリウッド ブルバードにある他の劇場とオープンの年はさほど変わりません。オープン当時ここはファンシー(Fancy)という名前でしたが、舞台・映画俳優であったヘンリー フォンダ(Henry Fonda)に敬意を表して1985年フォンダ シアターと名前を変更しました。(ヘンリー フォンダは1960年代以降に活躍したハリウッド女優ジェーン フォンダのお父さんです)

他の劇場と比べるととても小さく感じてしまいますが、時が流れる中で会場の用途を変え、今でも地元の音楽ファンに愛されるこの劇場はロサンゼルスの中でも数少ない貴重な場所になっています。

音楽ファンにとっては好きなミュージシャンを間近で見られる会場としてロサンゼルス内ではトップに入る人気のライブハウスです。

The Fonda Theatre
6126 Hollywood Blvd, Los Angeles, CA 90028

最後に

ハリウッドには映画の歴史を遡って振り返るとまだまだ多くのものが残されています。

近年コロナウィルスのパンデミックにより以前よりも活気が薄れてしまっているのがとても残念ですが、もっと掘り下げたら更に多くのストーリーが出てきそうな気がしてなりません。

ハリウッドのヒストリーを聞いて、あなたの人生にどの様なストーリーをプラスしてみたいですか?

あなたの心に残る景色とララランドへの扉が見つかりますように…。

トップ目次へ

Leave a Reply

Blog at WordPress.com.

%d bloggers like this: